わたしはとんだ!って、すげえ!
だれか空中ブランコを体験するひとおらんかな?ってきいて、中日のおんな記者さんがてーあげただげな。記者さんのなまえは昆野夏子さん。いや、このやっちゃえ精神、すきだな~^^
昆野夏子記者、空中ブランコとんでみた - 豊川公演中の木下大サーカス
(中日新聞 - 2021年10月24日05時00分)
- 豊川市白鳥町(しろとりちょう)の名鉄八幡駅前(やわたえきまえ)特設会場で2021年12月5日まで開かれとる「木下大サーカス豊川公演」(中日新聞社主催)。数多くの演目の中でも空中ブランコは、手に汗握るサーカスの花形の一つだ。若さを武器に記者(25)も華麗に舞えるだろうか。衆院選取材の傍ら挑戦してみた。(昆野夏子さん)
- 一般人の成功ほぼなし
「空中ブランコを体験する記者がおらんかな」。2021年8月中旬、サーカス関係者が話しとるのを耳にし、安易に手を挙げた。ちなみに一般の人が成功した例はほとんどないという。- 2021年10月1日から練習を始めた。空中ブランコ歴30年の中園栄一郎さん(48)をはじめ、高岡由侑(よしゆき)さん(38)と早田神竜(じんりゅう)さん(24)の3人の演者が先生だ。
- 初日は散々だった。練習場所は会場のテント裏にある高さ2メートルのブランコ。成功するにはジャンプのタイミングをつかむ以外に、大きく体を前に出す力が必要だ。バーにつかまり、振り子の要領で動こうとするが、腹筋、背筋、腕力がなく、中ぶらりんとなる羽目に。3人に押してもらいながら、揺れ方や飛び方を少し確認しただけで終わった。
- 「生半可な気持ちでは」
実は学生時代はほぼ運動しておらず、腕立て伏せや懸垂は1回もできん。「生半可な気持ちではできん」と痛感。自宅で筋トレを始めた。- 練習には計5日間通った。受け手役の人に見立てた、傘に向かってジャンプを繰り返す。手のひらにはいくつもマメができ、皮もむけた。帰りの車でハンドルを握る手が痛くなり、全身が筋肉痛になった。
- 「あと20センチ」にため息
そして2021年10月17日の本番当日。客席でショーを見ながら、心臓の鼓動は高まる一方。「すぐ落下したり、バーから手を離せんかったりしたら格好悪い。とにかく練習通りに」と言い聞かせた。- いざ出番。はしごを登り、高さ14メートルほどの舞台上部へ。演者たちが次々と技を決めとるのを目の前で見とると、不思議と冷静な気持ちになった。
- アナウンスを合図に、バーを握り息を止めた。静まりかえる会場。踏み台の端にかかと部分だけを載せた足の裏を滑らせるようにして降下した瞬間、「タイミングが早かったかも」と一瞬、頭をよぎる。見る見るうちに受け手役の中園栄一郎さんが迫ってきた。「今だ!」。離した腕を懸命に伸ばしたが、20センチほど届かんかった。一瞬の出来事だが、スローモーションのように感じた。観客から「あー」とため息が漏れた后、会場は拍手に包まれた。
- 悔しさと申し訳なさで舞台裏に行くと、演者たちは「頑張った」「よくやった」と言い、中園栄一郎さんも「今まで挑戦した女性で一番惜しい」と褒めてくれた。もう一度、挑戦したくなった。
- 当たり前のように成功する裏に、血のにじむような努力の積み重ねがあることが分かった。だが、そんな苦労をみじんも感じさせん演者たちのクールな振る舞いが印象的だった。サーカスを支える人たちの鍛錬のすさまじさを痛感した体験となった。