2018年ノーベル平和賞にえらばれたムラドさん。イスラム国の侵攻をうけて、戦闘員のつまにさせられとったげな。脱出以后、ほの実態を証言して被害者救済をうったえてきた。戦時の女性への性暴力は戦争犯罪だ。
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平和賞のムラドさん、えがおのない会見「国益のまえに人道主義」
(あさひ - 2018年10月ここのか)
- ことし2018年のノーベル平和賞にえらばれたイラクの少数派ヤジディー教徒のナディア・ムラド・バセ・タハさん、25才が2018年10月ようか、アメリカワシントンで記者会見した。受賞決定后、おおやけのばでかたったのははじめて。ムラドさんは「こえをあげられんひとびとのこえになる。正義をもとめるひとびとのためにたつ」ってかたり、性被害をうけた女性や迫害されとる少数派のために、今后も活動していくってちかった。
△ ムラドさん(あさひ)(ランハム裕子さんさつえい)
- ムラドさんは冒頭、ことし2018年のノーベル平和賞にえらばれたことについて、「おおきなおどろきで名誉」ってのべたあと、「同時に(じぶんが)おおきな責任を(もつことを)はっきり理解した」ってかたった。
- さらに、「わたしの目標は中東や世界でしいたげられとる少数派や性暴力の被害者をまもることだ」って説明。ほのうえで「ひとつの賞やひとりの人間では、ほの目的をたっすることはできん」って強調。「すべての政府に虐殺や性暴力の犯罪とたたかうことをもとめる。世界は道徳的、法的な責任をもたんといかん。国益のまえに人道主義がなきゃいかん」ってのべ、被害者救済へ国際社会がまっと積極的にとりくむよううったえた。
- ムラドさんは2014年に過激派組織「イスラム国」に拉致され、「性奴隷」としてイスラム国戦闘員らから強姦や暴力をくりかえしうけた。脱出したあとは被害の実態を証言し、性暴力の被害者救済をうったえつづけとる。イスラム国にたいしては、「かぞえきれんひとびとのいのちをうばった。社会を破壊しただ」ってつよく非難した。ほの上で「(イスラム国)構成員をころすことが正義なのではない。構成員を法廷に連行し、罰することが正義だ」ってかたった。
- また、性的いやがらせなどの性被害をSNSなどで告発する「#MeToo(わたしも)」運動についてとわれると、「わたしののぞみは、性暴力の体験をうったえるすべての女性が、ほのうったえにみみをかたむけられ、うけいれられることだ。ほいで、いたみをわかちあうこと、こえをあげることを(女性が)安全ってかんじることだ」ってかたった。
- ムラドさんはおよそ40分の会見中、つねに冷静に、ていねいに記者の質問にこたえた。ただ、えがおは一度もみせんかった。(ワシントン=杉山正さん)
(平和賞のムラドさんえがおなき会見「国益のまえに人道主義」:朝日新聞デジタル(ワシントン=杉山正さん)|2018年10月9日06時40分)
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イスラム国の性暴力を告発 - ノーベル平和賞ナディアさんのよこがお
(貫洞欣寛(かんどうよしひろ)さん - 2018/10/05)
- 2018年のノーベル平和賞は、コンゴ人の医師で、内戦で性暴力の被害をうけた女性の治療をつづけてきたデニ・ムクヱゲさん、63才と、イラク北部出身の25才の女性、ナディア・ムラドさんが授賞した。
- ことし2018年の平和賞のテーマは「紛争下での女性への性暴力」にたいする啓発。「勇気あるひと」ってノルヱー・ノーベル委員会にたたえられたナディアさんは、どんなひとなのか。なぜノーベル平和賞を受賞したのか。
- ナディアさんは1993年、イラク北部シンジャル地方にうまれた。周辺はシンジャル山脈っていう天然の要塞にまもられ、ヤズディ教っていう独自の宗教への信仰をまもりつづけるひとびとがくらす地域だ。民族的にもアラビア語をはなすアラブ人ではなく、イラク・シリア・トルコ・イランにまたがってひろがり「くにをもたん世界最大の民族」ってよばれるクルド人。一方で、クルド人の主流はイスラム教スンニ派。つまり、シンジャルのヤズディ教徒は、イラクの少数派であるクルド人でも、さらに少数派なだ。
- フセイン政権の独裁など過酷な歴史に翻弄されてきたヤズディのひとびとに巨大な悲劇がおきたのは、2014年8月のことだった。シリアとイラクで急速に勢力をひろげたイスラム過激派「イスラム国」がシンジャルに侵攻しただ。極端なイスラム教解釈をとるイスラム国にとって、ヤズディ教徒はイスラムを信じん「邪教徒」。ヤズディに一切の人権をみとめんイスラム国のてで、男性や高令の女性はころされた。わかい女性は性奴隷とされた。強制的にイスラム国戦闘員の「つま」とさせられただ。被害者のかずは3,000人をこえるってみられる。19才の学生だったナディアさんもこのとき、イスラム国にとらえられた。くりかえし強姦され、なぐるけるの暴力をうけた。
- ようやく脱出したのち、イラクからドイツへのがれ、避難民としての生活をつづけながら、報道機関の取材をうけてみずからの経験をかたり、イスラム国の性暴力を告発した。2015年12月には国連の安全保障理事会にも出席し、人身や性暴力の実態を証言。人身売買の被害者の尊厳をうったえる国連親善大使となった。
- 家父長制のつよいクルド社会では、性暴力をうけたことは女性と一家のはじであり、かくすべきだっていうかんがえかたがねづよい。ほれにひるまず、みずからの悲惨な体験を「女性への性暴力や人身売買を二度とゆるしてはならん」ってかおをあげてうったえつづけたことにより、2016年10月、ヨーロッパ連合、EU、ヨーロッパ議会は、すぐれた人権活動をたたえるサハロフ賞をナディアさんと、まあひとりのヤズディの女性におくった。ほれ以降、ナディアさんはノーベル平和賞の有力候補として注目をあつめるようになっとった。
- 2018年10月いつかのノーベル平和賞発表で、委員会はナディアさんに授賞する理由をこう説明した。
「戦時の女性への性暴力は戦争犯罪であり、国際安全保障への脅威である。戦時に女性の基本的な権利と安全を保障せにゃ、より安全な世界にはならん」 「ナディアは脱出后、こえをあげることをえらんだ。わずか23才で国連親善大使にえらばれた。ナディアはことし2018年、女性への虐待にたいして発言をつづけた。ムクヱゲ氏とともに、この問題で世界の先頭にたった」 (イスラム国の性暴力を告発 - ノーベル平和賞ナディアさんのよこがお(貫洞欣寛(かんどうよしひろ)さん)|BuzzFeed News|2018/10/05 20:11)
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