わがあんじょうのほこる芸者文化。2回にわけて紹介しとったちゅうにちのきじの、こんかいは后編を紹介する。担当記者は帯田祥尚さんと重村敦さん。
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はなまち今昔ものがたり - 三河の70年第9部
文化まもりて - まぐちをひろげ伝統継承
- 「よるのOL」
あんじょう花柳界で芸者はほうよばれとる。おきやにすみこみ、寝食をともにしてけいこにはげみ、やすみもない。ほんなふるいしきたりはまあ通用せんっていう意味だ。 - かつては家族が借金をかかえたために芸者になるものもおおかったけど、いまは「伝統文化をみにつけたい」ってとびこんでくるこもすくなくない。
△ あんじょう商工会議所青年部の式典でおどりをひろうするみな美さん
(あんじょう市民会館) - 2015年4月に芸者デビューしたみな美27才もほのひとりだ。高校卒業后、自動車工場勤務、百貨店の店員をへて、スナックではたらいとったとき、あんじょうに芸者のしごとがあることをしった。
- 「きものに興味があるし、にほん舞踊もやってみたい」
すぐにおきやの「かすみ寮」に電話した。京都にいかあかまよったけど、碧南にすんどったみな美はぢもとをえらんだ。 - かすみ寮。この連載でまえに登場したかすみ72才が経営するおきやだ。かすみは、ふるいしきたりの「規制改革」をしてきた。
- 芸者がじばらでかっとったきものはおきやで用意し、一日中拘束されるおきやへのすみこみもやめ、自宅から出勤するかたちにかえた。にちようはやすみにした。
- あんじょうに16軒あったおきやで、いずれもさいしょにかすみがとりいれた。「芸者がはたらきやすいかんきょうにかえていかんと。すみこみもいまの時代にはあわん」
△ 1955.3.5 あんじょう芸妓練舞場落成記念 - ぢもと経済界も花柳界を支援する。2002年に発足したあんじょう芸妓文化振興会、愛称笑美素会は、おどりや三味線など芸ごとの講師料を一部援助したりつづみなどを寄付したりしとる。
- 花柳界の「規制改革」もあり、しきたりでは、廃業がでんとあらたなおきやは開設できんかったけど、5年以上芸者としてはたらきゃあ、だれでもはじめれるようにした。
- 「ひとりでもおおくのこがおきやとして一本だちしてほしい。ほいで、あんじょうの文化のためにがんばってほしい」 かすみのねがいだ。
- かすみのもと、週1回のけいこにはげみ、みな美は2015年6月にはじめておどりをひろうした。「不安でいっぱいでしたけど、拍手して、ほめてくれてうれしかった。やってよかったなっておもいました」。いまではおおいときは週5回、宴席によばれる。
- かすみ寮からは2015年5月、6月にもひとりづつ芸者がうまれた。芸ごとのうでをいかにあげていくか、みな美と新人の競争ははげしくなる。
- 「おけいこはたいへんだけど、がんばって自信をもってやれるようになりたい。ほそくながくつづけれや」
△ はなまち今昔ものがたり - ちゅうにち 2015.9.24
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なるほど、愛知県内でゆいつのこるあんじょうの芸者文化も、「きものをおきやで用意するようにしたこと」や「芸者さんのおきやへのすみこみ廃止」、「日曜休日制の導入」、「おきや開設の自由化」っていう規制改革をへて、また、ぢもと経済界による「芸ごとにかかるおかねの一部補助」や「つづみの寄付」っていう支援もあって、いまにつながっとるわけだ。これからもこの文化、たのしませてもらうよ(^_^)
(さんこう)