あきひこのいいたいほうだい

いいたいほうだいってほど、いいたいほうだいにいえるわけじゃないけど、おりおりにかんじたこと、感心したことなんかをかいていくよ

スパルタをうちまかせ

けさの中部経済新聞にとってもいい記事があった。五百旗頭真(いおきべまこと)さんっていうひとのインタビューだ。

識者インタビュー=五百旗頭真さん

中部経済新聞 - 2021年5月じゅうよっか)

  • トランプ前政権時代にアメリカの民主主義はかつてなく劣化したが、民主主義は人類の共通財産でありつづける。いまの中国は強大化にもえ、国際社会が抑制せんと戦前のドイツやにほんとおなじく戦乱をひろげる危険がある。にほんは一国で中国の支配拡大をとめれん。基軸としてきたアメリカとの同盟を強化しつつ、中国とも相互利益の関係維持がのぞまれる。「日米同盟」プラス「日中協商」だ。いまは各時代で、戦争は解決ではなく相互破滅を意味する。にほんは米中対立の緩和と国際秩序の再編の仲介役をはたすべきだ。
  • 歴史の示唆
    いまの米中対立はギリシャの歴史を想起させる。華麗な民主主義と海軍力をほこったアテネが、軍閥的強権国家スパルタにやぶれた。アテネ城内で疫病が流行し、紀元前429年に偉大な指導者ペリクレスも没したあと、アテネ民主主義は市民の人気とりをきそうデマゴーグポピュリズムに堕落し、大戦略をあやまってまけた。民主主義の劣化をかるくみてはならん。
  • アメリカの没落」はこれまでなんどかとかれた。昭和初期の満州事変のころから英米自由主義は堕落したといわれ、冷戦初期には自由な議論をこのむアメリカは秘密主義的なソ連共産体制にかてんとのみかたがあった。しかしアメリカは勝利し復元力のある強靭な民主主義を実証した。
  • だが近年のアメリカはかつてなくきずついとる。2003年、ブッシュ大統領イラク大量破壊兵器所持を理由に開戦したが存在せず、政府への信頼は失墜した。2008年のリーマン危機で苦境におちいった白人労働者は2016年、エスタブリッシュメント(既存の支配層)ではなくトランプ氏を熱烈支持。移民がおしよせたヨーロッパは右派の国家主義的ポピュリストが伸長し、アメリカヨーロッパとも民主主義劣化がすすんだ。
  • 同時期、中国は経済、軍事力でアメリカにつぐ世界第2位の大国になった。ソ連は軍事力こそアメリカにならびたったが、いまの中国は経済力や先端技術力でもアメリカにせまり、世界の市場経済にふかくくいこみ、アメリカへのかつての挑戦者にくらべはるかに強大だ。
  • 自由、人間尊重
    米中逆転が経済的には2030年までに、総合力でもとおからずおこるとのみかたがひろがっとる。しかしパックスシニカ(中国の世界平和)がパックスアメリカーナアメリカによる平和)にとってかわると問題がしょうずる。
  • 中華帝国と皇帝権力は、超法規的で法の支配をうけず、みずからの意思が周辺国のしたがうべきルールだとする。しかしローマ法の伝統にたつ世界の法秩序では、いかなるひとも権力も普遍的な法には服さにゃならん。
  • また自由民主主義制度の核心には人間尊重の思想がいきづいており、人類の貴重な資産。すべてのひとの尊厳をまっとうするため、自由と人権がまもられにゃならん。ほの精神が民主主義の中核的な動力だ。
  • 近年の中国が富強をとげ、しんがたコロナウイルス抑制にも成功したことはたかく評価される。しかし中国が人民抑圧の強化や少数民族への圧迫、周辺へのちからを行使しての一方的支配拡大をみずからにゆるすなら人類の歴史から祝福されん。天道(普遍的ルール)にしたがうこと、ひとびとをいつくしむことは、洋の東西をとわず人類史のかわりえん道理だ。超大国化をまえにした中国の学習と自己革新をうながしたい。
    2021.5.14 中部経済新聞 - 五百旗頭真さん「スパルタをうちまかせ」
    (共同=芹田晋一郎さん)

五百旗頭真(いおきべまこと)さん

1943年うまれ。兵庫県西宮市出身。京都大学卒業。神戸大学教授、防衛大学校長、東日本大震災復興構想会議議長などを歴任。現在は兵庫県立大学宮内庁参与もつとめる。著書に「米国の日本占領政策」「日米戦争と戦后日本」。(共同)