「もしもしガーリック」　〜寸劇で悪質商法撃退！〜

防犯ってのはたるい。

「どろぼうやあきすにきをつけましょう！ふりこめさぎにあわんようにしましょう！ひったくりにはかばんのもちかたをくふうしましょう！暴力団にはしらんうちにちかづいてきますよ！変質者につかまりそうになったらおおごえをあげましょう！」とかはなしばっかりきいても、可能性がひくいことには関心をもちにくい。だけど、いざ犯罪被害にあうとしょげかえる。

そこで効果的なのが演じてみせることだ。

笑劇派は「わらいで社会貢献」をモットーになんねんも防犯劇をやってきた。大学生もこどもが犯罪者からみをまもるにはどうしたらいいかをかんがえてもらおうための創作劇にとりくんだ。民事事件の実態と対策についての寸劇も上演された。美人警察官が喫茶店のモーニングサービスで、防犯寸劇をやったりってのもある。愛知県警には演劇専門の部署もある。ひとが演じてみせるってのは、じつにあいてのこころにとどく。

「もしもしガーリック」の役者たち
（ちゅうにち）

そんなながれのなかで春日井市の市民生活課が、あのてこのての悪質商法から消費者をまもろうと、愛知県内のわかて役者たちによびかけて専属劇団「もしもしガーリック」を結成して、寸劇による啓発にのりだしただげな。

メンバーらは去年のくれに春日井市内の春日井商業高校ではつ舞台をふみ、1月 19、21日にはおとしよりたちをまえに迫真の演技を披露。「すこしでも被害をくいとめたい」とはりきっとる。
「金の価格が近年にないたかねでございます。たんすにねむっていらっしゃる金などがございましたら、他店ではまねできん価格で現金かいとりをさせていただきます…」。白山公会堂（白山町）でじもとのおとしよりをあつめてひらかれた会合で、貴金属の悪質な訪問かいとりや催眠商法を題材にした寸劇を演じた。
業者をなのるおとこがはやくちでまくしたてたあと、ちゅうちょする家人にさらにこうたたみかけて契約をせまった。「無料の査定だけでもご検討されてはいかがでしょうか」「○○さまのお宅におじゃましたついでですので、出張料はいっさいかかりませんけど、明日以降ですとばあいによってはかかる可能性があります」
「つい最近、そっくりの電話をうけたばかり」という 73才の女性は、舞台の “ほんものらしさ”に感心しきり。「家族がるすで日中にひとりでいえにおると、だれかとはなしたい衝動にかられる」と、あらためてこわさをかみしめたようすだった。
しかけにんは、春日井市市民生活課の鈴木英之課長補佐 46才。春日井商業高校へ消費生活講座にでむくことになり「生徒たちのこころにひびくおもしろい内容に」と、演劇ずきのべつの課の職員に相談したのがきっかけだ。つてをたどって役者たちにこえをかけると、名古屋市や一宮市の 20代から 30代のよにんがこころよくひきうけてくれた。
謝礼は交通費ていどでボランティア同然だけど、メンバーたちは「ひとのためになるなら」と事前に 3、4回けいこをし、こ道具や衣装までじまえで準備するねつのいれよう。「今後もオファーがあれば、各地にでむく」そうだ。
春日井市市民生活課によると、去年の 4月から 9月によせられた消費生活相談は、前年同期比 12.4％増の 618件。契約や解約に関する相談が全体の 7わりちかくをしめ、さそい文句は未公開かぶや社債購入、健康食品、やね点検などさまざま。「近年はとくにおとしよりからの相談がめだつ」傾向にある。「はずかしい」「じぶんがわるい」と相談せずにひとりでかかえこむケースや、だまされたこと自体にきづかんこともある。
鈴木英之課長補佐は「すぐに契約したりおかねをわたしたりせず、必要がなければきっぱりとことわってほしい。こまったらはやめに相談して！」とよびかけとる。

＜記者の目＞: 悪質商法の被害にあったおとしよりのなかには、だれにもいいだせずにおったり、ひとりぐらしで相談あいてがおらんかったりしてくるしむケースがすくなくない。家族はもちろん民生委員、介護ヘルパー、近所のひとら周囲のたすけが必要だ。急におかねにこまるようになったり、電話をとるのを敬遠したり、みなれんだんボールやあたらしいしなものがめにつくようになったりしたら、とりあえずひとこえかけてあげてほしい。
（谷知佳記者）

「もしもしガーリック」の活躍で、被害にあうひとがひとりでもへるといいね。

（ねたもと）