あきひこのいいたいほうだい

いいたいほうだいってほどいいたいほうだいにいえるわけじゃないけど、おりおりにかんじたこと、かんしんしたことなんかをかいていくよ

神代紀 (あきひこ ゆめてつどう)

「『神代紀』再論:考古学が指し差すところ」と いう ブログを よみ、わが 意を えたので、以下に かいつまんで 紹介する。




「神代紀」再論:考古学が指し差すところ


  • シュリーマンの トロイ遺跡の 発見は 神話の 記述と 考古学の 成果が 一致した ことを しめした。

  • つまり、神話は 歴史的事実を もとに して えがかれとる ことを あきらかに した。

  • この ことは ギリシャ神話に かぎる ことだろうか。

  • そんな はずは ない。



  • 人間は まったくの 白紙 状態からは なんの 想像も うみだす ことは できん。

  • どんな 荒唐無稽な フィクションも なんらかの 体験が もとに なっとる。もちろん ここで いう 体験とは 実生活に おける 現実の 体験に かぎらん。他者からの 伝聞や 映画、ドラマ、読書 などに よる 見聞や 追体験も ふくめた 意味の 体験を 意味する。

  • そして 神話の ばあいは まったくの 荒唐無稽では ありえん。氏族 あるいは 部族の 集団的記憶に マッチすると いう 正当性が なければ、その 集団の ものがたりと して うけいれられんし、ひろく 流布する はずも ない。当然 その 集団の 歴史的な 事実を ふまえた もので なければ ならん。

  • ならば 逆に 考古学の なかにも 神話の 痕跡が あらわれるのも 当然な ことだろう。

  • 記紀の 神話の 解読も 考古学(ときには 地質学も)との 一致に よってこそ、その 正当性が 保証される。しかし、おおくの 考古学者は 記紀や 風土記や 伝承には 無頓着の ようだ。

  • 古田さんは 『いまの 考古学者や 教科書は、「神話、伝承 オンチ」、「記紀神話 オンチ」、「風土記神話 オンチ」』(「古代史の未来」より)と てきびしい。



ここで、『記紀古事記日本書紀)』の 神話から 歴史を ほりおこしとる 古田さんの 古代史は 考古学や 地質学と 一致するのか どうか みて みる。考古学者に よる 神話解読、と いうよりは アカデミズムと いう 呪縛の なかでの 思考の 典型と して、森浩一さんの 『日本神話の考古学』を 比較に あげる。


まず、『大八洲 (おおやしま)』の 問題から。


つぎの 図は ともに 日本書紀の 本文に あらわれる 地名を 地図上に 比定した もので、図 1が 古田さん、図 2が 森さんに よる ものだ。

図 1 大八洲 古田氏 図 2 大八洲 森氏
図 1 大八洲 古田氏
図 2 大八洲 森氏



すぐに きが つく おおきな ちがいの ひとつは 「筑紫洲」だ。古田さんが 福岡県(あみがけ 部分)と するのに たいして、森さんは 九州 全体と しとる。それぞれの 論理的根拠を くらべる まえに、考古学、地質学上の 事実を 指摘して おきたい。


1975年 ごろから 栫ノ原(かこいのはら)遺跡や 掃除山(そうじやま)遺跡 など、鹿児島県で 縄文時代草創期の 遺跡が つぎつぎと 発掘されて きて おり、縄文 文化は 「東高西低」と いう 従来の 常識を くつがえすと ともに、鹿児島には すでに 縄文時代 草創期に 定住 集落圏が あった ことを しめしとる。


そして、掃除山遺跡より 以前 約 12,000年 まえに、西日本 全域に おおきな 被害を もたらした、鬼界カルデラと よばれとる 硫黄島の 大噴火が あり、その ときの 火山灰は 「アカホヤ火山灰」と よばれとる。研究の 結果、つぎの 図 3の ような 「アカホヤ火山灰」に よる 被害の 程度が あきらかに なった。


図 3 アカホヤ火山灰の 降灰分布
図 3 アカホヤ火山灰の 降灰分布


鬼界カルデラを 中心と する たまごがたの 部分は 火砕流に より 住民が 即時に 全員 死亡した 地域。つぎの 鹿児島県 北部−高知県 足摺岬を むすぶ 線の 範囲内は 30cm 以上の 火山灰が つもった 地域で 壊滅状態。つぎの実線は 20cm線で あり、20cm〜30cmの 範囲での 生死の 確率は 5割 ほどで あった。その 実線の そとがわ、20cm 以下の 地域では 死者を だす ほどの 被害は ほとんど なかった。




つぎの 図 4は 鹿児島での 最近の 発掘調査も くわえた 「アカホヤ火山灰降灰以前の縄文土器分布図」(新東晃一氏による)で ある。


図4 アカホヤ火山灰降灰以前の 縄文土器分布圏
図4 アカホヤ火山灰降灰以前の 縄文土器分布圏


図 4の 実線 部分内の 地域から 図 3の 火山灰 20cm 以上の 範囲の 地域を のぞいて みる。これは 「アカホヤ火山灰」の 被害を ほとんど うけずに、縄文文化を そのまま 継承できた 地域と いう ことに なる。

  • 九州=長崎県、佐賀県、福岡県
  • 中国地方=山口県(2/3ほど)、島根県、鳥取県(西半分ほど)

それぞれ 筑紫(福岡県)、出雲(島根県)を 中心と した 地域で ある。そう、記紀神話の 舞台だ。古事記の 神話に でて くる 地名の 頻度は 1位が 出雲で、2位が 筑紫。日本書紀では その 逆と なっとる。これに 「アカホヤ火山灰」に よる 被害が 半壊 ぐらいで いきのびた 地域を くわえると、「大八洲」の 舞台と いう ことに なる。


記紀神話は 弥生文化の 所産だから、うえの 事実は 同時に、縄文文化の ながい 蓄積の うえに 弥生文化が はなひらいた ことをも しめしとる。考古学、地質学は 「筑紫洲」が 九州 全域では なく、福岡県で ある ことを さししめしとるだ。




なかなか むずかしい はなしだったが、どうやら 神話の 記述と 考古学の 成果は 一致すると いう ことらしい。




(さんこう)
自由のための「不定期便」 「神代紀」再論:考古学が指し差すところ|第786回|2007/05/04(金)