あきひこのいいたいほうだい

いいたいほうだいってほどいいたいほうだいにいえるわけじゃないけど、おりおりにかんじたこと、かんしんしたことなんかをかいていくよ

医療も わかりやすい ことばで (あめーば)

医療の 世界で、ことばを わかりやすく しようと いう とりくみが はじまった ようだ。たいへんに いい ことだと おもう。以下、記事を 要約して 紹介する。




【寄稿】患者とともに歩むための言葉の提案|吉岡 泰夫(国立国語研究所研究開発部門上席研究員)


「説明したのに,全然 理解しとらんかった」


「説明されたけど,よく わからん」


など,臨床現場に おいて,医療者と 患者が たがいに 理解しあえんと 感じる とき,それは たちばの ちがいだけで なく,もちいとる 「ことば」と いう コミュニケーションツール自体が ことなっとるのでは ないか。そう いった 視点から,医療コミュニケーションの 適切化を 目的と した,学際的な とりくみが おこなわれとる。


本稿では,国立国語研究所に よる 「病院の言葉を分かりやすくする提案」の 概要と,医療げんばに おける コミュニケーション研究の 経緯に ついて 吉岡泰夫氏に ご寄稿いただいた。専門家同士が 協力する ことの 意義に ついても かんがえる 機会と したい。


(本紙編集室)


学際的連携に よる 医療コミュニケーション研究の 出発


近年 医療げんばでは,患者中心の 医療,患者参加型医療を 推進する ために,患者・家族と 医療従事者が,ラポールに もとづく 信頼関係,闘病の 同志(医療チーム)と いえる 協力関係を きずく こと,また,両者の 情報共有に よる 合意の 形成,患者参加型の 意思決定が 重視される ように なった。


これらの 目標は,患者・家族と 医療従事者の コミュニケーションに 関する 言語問題を 解明し,問題解決の ための コミュニケーション適切化を はかる ことに よって 達成可能だ。安全で 信頼される,患者満足度の たかい 医療を 実践する ためにも,医療コミュニケーションの 適切化は 重要な 課題だ。


医療コミュニケーション研究を,社会言語学と 医学・医学教育学の 学際的連携チームで はじめた きっかけは,熊本大学で 医療面接教育を 担当しとった 早野恵子氏との であいだ。医師に もとめられる コミュニケーション・スキルの 獲得を 目的と し,OSCEに よる 評価も はじまった 医療面接教育の なかみを 充実させる ためには 異分野の 同志の 連携が 必要だっただ。わたしたちは,こころざしを おなじく する 医師・言語学者で 研究チームを 結成して,「医療における専門家と非専門家のコミュニケーションの適切化のための社会言語学的研究」と いう 厚生労働省科学研究費補助金に よる 研究を 2005年から 開始した。


医療コミュニケーション適切化の ふたつの 課題


わたしたちは,医療の 専門家と 非専門家 双方を 対象に した 各種調査に もとづいて,医療コミュニケーション適切化の 具体的な 課題を 探索した。その結果,おおきく わけると,つぎの ふたつの 課題が ある ことが わかった。


(1) 情報の 共有,合意の 形成に やくだつ コミュニケーションの 工夫


国立国語研究所が 実施した 2004年度世論調査に よると,医師から 難解な ことばで 説明を うけた 経験が ある ひとは 国民の 約 4割を しめとった。また,8割以上の ひとが 難解な 専門用語の わかりやすく かみくだいた 説明や いいかえを もとめとった。情報の 共有の ためには,まずは,専門家が 非専門家に あゆみよって,わかりやすく つたえる 工夫を すべきだ。そう する ことが 患者への 説明能力を たかめる ことにも つながる。


難解な 医学・医療用語の なかには,患者・家族が 理解する 必要性が たかく,症状説明や インフォームド・コンセントなどで つかわざるを えん ことばも ある。的確な いいかえが 困難で,むやみに 一般語に いいかえると 誤解を まねく 専門用語も ある。また,説明を くわえる ことが さらに 高度な 医学知識を 提供する ことに なり,非専門家の 理解を いっそう 困難に する 専門用語も ある。


だから,患者・家族が 理解する 必要性の たかい 医学・医療用語から 優先的に,わかりやすく,誤解を まねかん 説明や いいかえを 検討する 必要が ある。情報の 共有の 核心は,医療の 限界や 不確実性,リスクをも 共有する ことだ。


(2) 信頼関係・協力関係を きずく コミュニケーションの 工夫


世論調査では,癌の 告知など よくない しらせを つたえる ばめんで,医師の コミュニケーションに 期待する ことも たずねた。医師には 患者・家族の きもちに 配慮して,露骨さを やわらげた 表現など コミュニケーションの 工夫を して ほしい,それに よって 不安や 心配を 軽減し,医師と 信頼関係・協力関係を きずきたいと おおくの 国民が のぞんどった。


さらに,みっつの 病院で 患者を 対象に インタビュー調査を おこなった。患者を 「〜さま」では なく 「〜さん」と よんで ほしいと いう ひとが 9割以上,患者に 対して,過剰な 敬語は やめて 簡素な 敬語を つかって ほしいと いう ひとが 8割,敬語は 必要ないと いう ひとが 2割と,圧倒的多数が おたがいの 心理的距離を ちぢめる したしみやすい コミュニケーションを のぞんどった。その 理由を たずねた ところ,「患者と 医師は,なんでも はなせて,なんでも 相談できる 関係に なるべきだから」「信頼関係を きずくべきだから」などが 多数派だった。


この ような 相手に 配慮した コミュニケーションの 工夫は,すべて 「ポライトネス・ストラテジー」に ふくまれる。これを ポライトネス理論の 重要概念を ふまえて 日本語に 訳すと 「調和の とれた 人間関係を きずき 維持する ために おこなう,相手に 配慮した 言語行動」だ。


病院の ことばを わかりやすく する 提案


(1)の 課題に ついては 現在,国立国語研究所「病院の言葉」委員会を 設立し,「病院の言葉を分かりやすくする提案」と いう プロジェクトを 遂行しとる。この 提案は,医療従事者が 患者・家族に わかりやすく 説明する 指針と なり,情報の 共有を たすける てびきと なる ことを めざしとる。患者・家族に とって,どの ような ことばが わかりにくいのか,どのような 誤解を しとるか,医師と 患者 双方を 対象と する 調査に もとづいて 問題の 類型を あきらかにし,問題解決の ための 工夫を 類型ごとに 具体的に 解説する。病院の ことばを わかりやすく する 工夫の 5類型と とりあげる ことばの 一例を 紹介する。


ひとつひとつの ことばに ついて,[いいかえ,説明][こんな 誤解が ある][効果的な ことばづかい][患者は ここが しりたい][ここに 注意][患者と 医師の 対話例][複合語][関連語]と いう 項目を もうけて 具体的な 工夫を 提案する。


委員会は,日本医学教育学会を はじめ,日本プライマリ・ケア学会,日本医師会日本薬剤師会日本看護協会の 代表,地域医療を になう 医師など 医療の 専門家と,非専門家と して 患者会代表,および,言語学・コミュニケーション論・法律・新聞・放送の 専門家と いう ように,広範な 分野の 同志で 編成した。提案の 必要性,その ための 学際的連携の 重要性を 共感し,意気投合した 委員ばかりで,議論は いつも 白熱する。


現在,提案の 内容を ねりあげとる ところで,今年 10月ごろに 中間発表を,2009年 3月ごろに 本発表を おこなう 予定だ。委員会の 設立趣意書,委員名簿,議事要旨,提案の 基盤と なる 調査データなどは,すでに 国立国語研究所ホームページに 公開しとる。



A.日常語で言い換えを
浸潤,生検,寛解,MRSA,イレウス
B.分かりやすい説明を
炎症,抗体,潰瘍,ウイルス,対症療法
C.誤解の回避を
合併症,ショック,糖尿病,食間
D.不安の軽減を
腫瘍,予後,緩和ケア,ホスピス,ステロイド
E.重要な新概念の普及を
インフォームドコンセントセカンドオピニオンクリニカルパス,QOL,PET

ポライトネス・ストラテジー教育プログラム


(2)の 課題に ついては,あらたに 「医療コミュニケーションを適切化するポライトネス・ストラテジーの研究と資料の提供」と いう 厚生労働省科学研究費補助金に よる 研究を 2007年から 開始した。調査研究の 成果は,『プライマリ・ケア』 31巻 1号(2008年3月)の 論文 「『〜さま』と『〜さん』」,『医学教育』 39巻 4号(2008年8月)の 論文 「良好な患者医師関係を築くコミュニケーションに効果的なポライトネス・ストラテジー」,第 40回 日本医学教育学会(2008年7月)の 発表 「医療コミュニケーション適切化に有効なポライトネス・ストラテジー教育プログラム」などで 公表しとる。


今後の 課題は,研修医教育で 有効性が 確認できた ポライトネス・ストラテジー教育プログラムを,学生の 医療面接教育や,医師,看護師,薬剤師,検査技師,医療秘書など 医療従事者の 教育に 活用して,臨床現場の 医療コミュニケーションの 適切化を 支援して いく ことだ。




(ねたもと)



こう いった とりくみが すすむ ことで、日本の 医学自体も 進歩して いく ものと おもう。




※ 文中の 写真は 筆者が かってに インターネットから 拝借した もので あり、吉岡氏の 寄稿とは まったく 関係が ない。