あきひこのいいたいほうだい

いいたいほうだいってほどいいたいほうだいにいえるわけじゃないけど、おりおりにかんじたこと、かんしんしたことなんかをかいていくよ

総額108兆円ってまっかなうそだった

安倍晋三総理大臣のうちだした、「しんがたコロナウイルスの緊急経済対策で総額108兆円」ってのは、まっかなうそだった。MSNニュースの記事をみてわかった。

16兆7,059億円がほんとの金額。うちわけは、雇用の維持と事業の継続のために10兆6,308億円、感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発に1兆8,097億円、経済活動回復のために1兆8,492億円、強靭な経済構造の構築に9,172億円、予備費1兆5,000億円。

みせかけだけの安倍「108兆円」コロナ経済対策
ほのよせあつめのハリボテっぷりに驚愕

2020/04/11 08:33
MSNニュース - ハーバー・ビジネス・オンライン

「緊急事態宣言」とともに出された緊急経済対策
2020年4月7日。火曜日の夕刻5時30分。ほとんどのテレビ各局は通常の放送を切り替え、総理大臣官邸で開かれている新型コロナウイルスに関する政府対策本部の生中継を始めた。

長テーブルの真ん中に座った安倍晋三総理大臣は東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、大阪府兵庫県、そして、知事から要望のあった福岡県の7都府県に対して緊急事態宣言をした。総理大臣は「全国的かつ急速な蔓延(まんえん)により、国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある事態が発生したと判断した」とペーパーを読み上げた。

ニュース速報が流れ、大都市の繁華街にあるビジョンなどでも緊急事態宣言が発出されたことを伝えた。午后7時過ぎからは記者会見も開かれ、民放テレビ局でも通常の夕刻の楽しいバラエティ番組を差し替え報道特番に切り替えるところも出た。

この日、総理大臣は前日からメディアで流布されてきた緊急経済対策を正式に発表した。その規模を特に強調した。諸外国にも引けを取らないGDP国内総生産)20%にもなる総額108兆円の新型コロナウィルスへの緊急経済対策だという。

それまで、国民や企業に幾度となく自粛は求めても、補償や援助に関しては単発で案や方向性は出たとしても、具体的で大規模なパッケージでの発表はなかった。私も108兆円という数字を聞いて胸を撫で下ろした。これで、産業も国民も腰を入れて、戦后最大の国難である新型コロナウィルスと戦えると思ったからだ。

数字だけ一人歩きする「108兆円」の不自然さ
108兆円。その日から日本の1年分の国家予算に匹敵する数字が一人歩きしておる。テレビや新聞、雑誌でも、対策予算は108兆円と繰り返し喧伝される。しかし、私はあれ?と思った。総理大臣がことさらに強調する1世帯あたり30万円の給付金や中小企業や個人事業主への援助もあまりにもハードルが高い。WHO(世界保健機構)が役に立たんという布製の通称アベノマスクの466億円を含めても108兆円との隔たりがあまりにも大きい。

少し調べていくと驚くことがわかった。108兆円の対策をするために発行される赤字国債はたったの14兆4,767億円だった。108兆円の対策をするのであれば、108兆円をどこからかお金を引っ張ってこなくてはならんと思っておった。しかし、実際はおよそ14兆5,000億円。この差はいったいどういうことなのだろう。

第二次世界対戦以降初めての全地球規模で人類に襲いかかる生命の危機であり、最悪の経済のダメージでもある新型コロナウイルス問題。ここで政府は、断固として国民の生命と生活を守り、このコロナ危機が去った後に経済をV字回復させるために、産業を保全しながら一時は休ませにゃならんはずだ。そのために十分な金を使わにゃならn。今は平時ではない。非常時なのだ。民主主義の戦后日本で初めてと言っていい私権の制限も含む緊急事態宣言が発出されたのである。この安倍総理大臣の言う108兆円の経済対策は私たちが期待していい108兆円なのか?

自粛と我慢を受け入れておった国民
緊急事態宣言に対して異議を唱える国民は少数派だ。逆に宣言自体が遅すぎると言う声が大きいほどだ。なぜなら、この1月からコロナウィルス問題はひとりひとりの生活と健康、いや命に関わる個人の最大の関心ごとであり、最重要の国内問題でもあるからだ。

1月に隅田川の屋形船で新年会を開いたタクシードライバーや東京と関西を結ぶ中国人観光客を案内したドライバーやガイドなど、国内でコロナウイルス感染者が出てからは、中国武漢で起きた他人事から自らの問題となった。それから3か月近く、私たちはマスクの着用やアルコール消毒、手洗いなど行動様式を一変させた。

2月6日に横浜港に大型クルーズ船、ダイヤモンドプリンセス号が着岸してからは、報道や情報番組のほぼ全てがコロナウイルス問題一色になった。2月27日には総理大臣自ら「ここ1、2週間が極めて重要な時期」とし、地方自治体に小中高の休校を要請し、3月2日からほどんどの学校教育がストップした。

国民のコロナウイルスに関する自粛にアクセルが入る。前日の2月26日には全国規模の大型イベント、スポーツ、パフォーミングアーツなどの自粛が求められ、ほとんどのものが休止となった。総理大臣が極めて重要な期日の開けた3月16日ごろから一部で再開されたが、すぐさらに10日間の自粛延長を求められた。大相撲など無観客で開催されたものもあったが、戦后初の中止に追い込まれたセンバツ高校野球などほぼ全てのパフォーミングアーツ、スポーツイベントなどがそれから中止となったままだ。重要な時期は1、2週間ではなかったのだ。

こうして、国民は緊急事態宣言が出るまで3か月近く自粛と我慢の毎日を過ごしてきた。マスクや消毒液が品切れになっただけでなく、トイレットペーパーから食料品まで先の不安を思ってかスーパーなどで少し多めに買い物をする人が増えた。中には不安に耐えきれず必要以上に買いすぎた人もいる。人々は外出や旅行、スポーツやコンサートなどを楽しむこともできなくなり、外食も消費も抑えるようになった。何しろ年に一度の花見を今年は歩きながらする人が多く出た。それでも気が緩んでると批判が起きたほどだ。

国民の生活は甚大な被害を被っておる
もちろん経済にも多大な打撃を与えておる。深刻なのはひとりひとりの個人の収入だ。

今や働く人のおよそ4割、2,000万人以上が非正規労働者の日本。最初にインバウンドも柱の一つとなっておる観光業が壊滅状態になった。外国人だけでなく日本人も旅行をせんくなった。このため航空、鉄道、バスなど交通、宿泊施設全体が大幅な減収となっておる。外食産業はそれでなくても来客が減る2月ではあるが、例年以上に客足は急速に落ち、歓送迎会のある3月に持ち直すかと思いきや本格的な自粛が始まりさらに落ち込んだ。そこで働く人は勤務時間が減らされ、中には解雇され収入が激減した。

製造業では中国など海外のサプライチェーンから部品の納入が止まったり需要そのものの落ち込みで減産や製造中止となり、真っ先に非正規労働者らが雇い止めなどの煽りを食らった。

パフォーミングアーツやスポーツなどに関わる人たちも現場があって初めて収入となる人たちだ。俳優や選手、演奏家だけでなく、舞台設営、照明、会場案内、業種は多岐にわたる。前年比で8割、9割の所得が減ったと言う人は珍しくない。そして、すでに5月以降のイベントや興行も中止が発表されておる。

こうした非正規労働者だけでなく、正社員として働く人からもため息が聞こえてくる。通常は支払われる残業代がテレワーク、リモートワークの場合には払われんことが多く、実質の手取りが大きく目減りしておるのだ。

今やコロナウイルスによって収入に影響を受けてない人は少数派といってもいい状態になってきておるのではないかと推測される。そのため、3月頃から本格的な経済対策を行政に求める声があがった。自粛と補償はセットでなされるべきと言う声だ。しかし自粛は発令されても、具体的な補償の話はほとんど出てこんかった。

世界各国が迅速な経済対策を打った背景
日本経済はリーマンショックブラックマンデーバブル崩壊以上の深刻な経済の落ち込みが確実視されておる。4月9日に日本銀行の支店長が集まり、全国を9つの地域にわけて景気の現状を分析する「地域経済報告」をまとめた。9つすべての地域で景気判断を引き下げた。リーマンショック直后の2009年1月以来だ。特に北海道と東海地区は「下押し圧力が強い」とした。これは、日本経済に最后のダメ押しをしたようなものだ。それでなくても日本経済はコロナ以前に失速しておったからだ。

2019年10月に消費税を10%にしたため、個人消費・住宅・設備投資は深刻な打撃をすでに受けておった。10-12月期のGDP国内総生産)は年率換算でマイナス7.1%。3月末の月例経済報告では景況判断から6年9か月続いて記されておった「回復」の文字が消え「急速に厳しくなっておる」とされた。これに加えてのコロナショックなのだ。

リーマンショックの后は中国が世界経済を回復させる牽引役になったが、今回はリーマンショック后でさえもプラス成長だった中国経済が1992年に市場経済を取り入れて以来、初めてのマイナス成長になる。失業率30%になるとされるアメリカもマイナス成長、さらにイギリスのブレグジットで混乱の渦中のヨーロッパもユーロ圏統合后で最悪のマイナス成長になることは間違いない。

このために各国は大規模で中身のある経済対策をスピード感を持って発表した。アメリカは3月27日に230兆円の経済対策予算を通し、4月2週目には早くも27兆円の追加予算をまとめた。国民個人への支援も厚い。

ヨーロッパ各国も極めて異例の予算を次々と組んで支援を始めた。フランスは法で定めら最低賃金の4.5倍を上限に給与の100%、イギリスはフリーランスも含めて賃金や収入の80%、ドイツは時短勤務となった場合には給与の補填を最大67%することに加え、社会保障費の全額肩代わりを提示した。そのほか休業に追い込まれた中小の店舗などに家賃や光熱費の補助などを実施するなど、国民が安心して自宅待機でき、中小企業も含め休業しやすい対策を打ち出した。

数字だけは立派な日本政府の108兆円対策だが……
日本政府が4月7日に発表した108兆円も数字的にはヨーロッパアメリカに決して劣らん、この規模なら国民が渇望しておる緊急経済対策のはずだ。しかし、新たな赤字国債の発行は14兆5,000億円ということに私は疑問を持った。そして、その経済対策の中身を見ていくと、驚くばかりのことばかりだったのだ。

メディアでは108兆円という数字ばかりが強調されるが、その前につく言葉をご存知だろうか?「事業規模」という言葉だ。108兆円は事業規模なのだそうだ。加えて財政支出は39兆5,000億円とある。つまり政府の支出を伴うものは40兆円に満たんわけだ。支出は108兆の3分の1強。支出を伴わんものも含む108兆円の事業規模にはどんな事業があるのだろう?

最初に目がついたのが26兆円分の事業である。これは、資金繰りが苦しくなるであろう企業などの税金や社会保障費の納入を1年間猶予するものだった。経済対策の4分の1の26兆円は、国に収めるカネを1年間待ってやるという事業だった。さらに、支出を伴うものであっても、昨年の台風19号などの一連の災害からの復旧、復興などのため2019年12月に決定した経済対策のうち19兆8,000億円分を108兆円の一部として組み込んでいた。

4月7日に発表された緊急経済対策は新型コロナウイルス対策に対してのものだと国民の多くが思っておるはずだ。メディアもそういう趣旨で報道しておるが、実際は去年の台風などの災害ですでに発表されておる経済対策をもう一度カウントしておったのである。

「寄せ集め」の「ハリボテ」だった108兆円対策
私が飲み会の席で、多くの人に向かって皆に10万円だそうと言ったら、誰もが10万のカネを支払うと思うだろう。ところが、実際は今まで奢ってきた飲み食いの5万円や、クーポンや店舗に交渉して3万円分負けさせておった分も加えての10万円分だと言ったらどう思うだろうか? 実際に財布から出すのは2万円だけだったら、誰もがそれは10万円出すのとは違うと言うはずである。

ところが、4月7日に閣議決定された、緊急経済対策の中身を見ていくとコロナウィルス対策にしては不思議な項目が次々と出てくるのだ。

例えば、住宅市場安定化対策事業(住まい給付金)、「マイナンバーポイント」を活用した消費活性化策、事業継承・世代交代支援事業、地方創生拠点整備交付金、首都圏空港の機能強化、スマート農業技術の開発実証プロジェクト、一人一台端末の前倒し整備、学習データ基盤の検討、遠隔教育による家庭学習環境の整備、公共施設における花きの活用拡大支援、 JAPANブランド育成支援事業、酒類の海外展開推進事業、労働力不足の解消に向けたスマート農業の導入実証など、驚くような事業のオンパレードなのだ。

これらは、新型コロナウィルス対策のために発案されたものだろうか? それとも前からあったものをコロナ対策として半ば強引に組み込んだものだろうか? 果たしてこれは私たちが待っていた感染予防や経済対策なのであろうか?

私は頭を抱えてしまった。そして、私が新型コロナ対策予算だと思うものを2020年度一般会計補正予算にやっと見つけた。

新型コロナウィルス 感染症緊急経済対策関係経費16兆7,059億円とあった。この予算のために特例公債(赤字国債)14兆4,767億円を当てることも記されている。108兆円という数字ばかりが国民に浸透しているので、あまりにも差がありすぎるが、これがコロナウイルス対策予算の本丸なのだろう。その中身を見ていこう。雇用の維持と事業の継続のために10兆6,308億円、感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発に1兆8,097億円、経済活動回復のために1兆8,492億円、強靭な経済構造の構築に9,172億円、予備費1兆5,000億円である。

つまり、条件が合わんと支給されん1世帯あたり30万円の給付金や、前年度の事業収入の落ち込みを支給する制度などから、コロナウイルス問題が終息した后の旅行補助、イベント関連のクーポン、1億枚の布製マスクを1世帯2枚づつ配る事業の466億円などもここに入るというわけだ。

これでは中身のほとんどない張りぼての経済対策だと言われても仕方がない。安倍政権は緊急事態宣言を出しても財布をほとんど開かんつもりなのだ。これなら、新規の赤字国債は14兆5,000億円というのもうなづける。

国民が確実にもらえるのは、児童手当の上乗せ1回のみ1万円と、1世帯につき布製のマスク2枚なのである。

ここまで読んできていただいてがっかりしたかたも多いと思う。ほとんど報道されんのでご存知ないかたも多いだろうが、立憲民主党日本共産党、国民民主党、れいわ新鮮組など野党各党は、今回の対策では不十分だと財務省、与党に繰り返し詰め寄っておる。与党では公明党からも声が上がり始めた。

太平洋戦争后、最大の危機であるのに、これだけ出し渋る理由がわからない。出し渋るだけでなく、さも出しているように108兆円という数字までぶち上げるのに至っては、少しずるさまで感じてしまう。政治というのはそういうものなのか?

なんとかこの無能政権の無策を乗り切るために
さて、ここで私がなすべきことは、拙文をここまで読んでくださった皆さん個人が申請すればもらえる給付金などについて、できるだけ分かりやすく説明して、ひとりでも多くの人に、事業をされておる方にこの難局を乗り越えるための資金を得てもらうことである。まず企業の方にぜひ考えてもらいたいものが、雇用調整助成金である。なぜなら4月から6月までの期間限定で、解雇をせずに従業員を休業(今は家におった方が安全なのでオススメ)などをした場合の補助率が引き上げられておる。大企業で通常が2分の1なのが4分の3まで。中小企業は3分の2から10分の9まで引き上げられておる。1日の上限金額などもあり不十分かもしれんが、非正規の労働者も対象になるというので検討に値するはずだ。雇用調整助成金の仕組みなどはネットで厚生労働省の「雇用調整助成金ガイドブック」が簡単にダウンロードできるので見てもらいたい。

次に「持続化給付金」という名称になる予定のもので、事業収入が前年同月比50%以上減少した事業者に、中堅・中小企業は上限200万円、個人事業主は上限100万円の範囲内で、前年度の事業収入から減った金額を給付するもの。ネットで申し込めるようになる予定。具体的な申請方法などについては経済産業省のホームページで今后発表になる。

そして、誰もが知りたい1世帯あたり30万円の給付金についてである。ハードルは高く評判も悪い。この基準が4月10日に変わった。できるだけ分かりやすく説明したい。

今まであった住民税非課税世帯という枠がなくなった。2月から6月までの間で1か月間だけでも、収入が単身者なら10万円、2人世帯なら15万円、3人世帯で20万円、4人世帯で25万円以下になることがあったならもらえるようになった。もしくは、世帯主の収入が半分以上減って、上記水準の2倍未満になれば良くなった。単身者なら20万円、2人世帯なら30万円以下になれば基準をクリアするわけだ。例えば、単身者で40万の給与をもらっておった人が、1か月でも半分以下の19万5,000円になったのなら、30万円もらえるということになる。

国民民主党玉木雄一郎代表は、「50%以下では基準が厳しいので、せめて30%以上減った世帯に支給できるようにするべき」と声を上げている。

また、世帯主の収入を基準としておるので、例えば、妻が解雇され世帯全体としては半分以下の収入になったとしても対象にならんということもある。これも見直されるべきだと思う。

申し込みはまだ先のことになるが、郵送での申請が原則だが、ネットでの申し込みも可能になる可能性がある。給与明細が提出書類として必要になるので、用意しておきたい。

ちなみに、この働く人なら最も気になる30万円の給付制度であるが、安倍総理大臣が言う108兆円の緊急経済対策予算のうち、組まれた金額はたった4兆円ほどである。追加の経済対策、それも真の経済対策が早急に求められておる。ラフな私案は前回の私の拙文に載せてある。よろしければ読んでいただきたい。

<文/佐藤治彦
さとうはるひこ●経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶応義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。