中日新聞に、『国策不捜査「森友事件」の全貌』っていう本の紹介がのっとった。くにの犯罪、安倍総理大臣の犯罪にたいして、まったく検察がいごくけはいがないことに、おれもいきどおりをかんじとる。
『国策不捜査「森友事件」の全貌』
篭池泰典+赤沢竜也著
(文芸春秋・1,870円)
「まくひき」は、おわったもんっておもわれとった。
公文書改ざんに関する財務省の「調査報告書」が公表され、改ざんに関与した官僚たちにかたちばかりの処分がなされたことで、「森友学園事件」の真相解明をもとめるこえはかきけされつつあった。しかしことしは、ふたつのできごとによって「事件」にふたたびひかりがあてられとる。
ひとつは、自殺した財務省近畿財務局の職員、赤城俊夫さんの遺書と手記が公表され、遺族がくにと佐川宣寿(さがわのぶひさ)理財局長(当時)に損害賠償をもとめて裁判をおこしたこと。赤城さんは、意にそわん公文書改ざんを命じられ、「病気休暇」においこまれたすえ、みずからいのちをたっとった。
まあひとつが本書の出版だ。副題に『「森友事件」の全貌』と銘うった本書は、詐欺罪などで実刑判決をうけて控訴中の森友学園前理事長篭池泰典氏と、作家赤沢竜也氏との共著で、「事件」の発端から篭池夫妻の逮捕と大阪地検特捜部によるとりしらべの詳細、ほのあとのてんまつにいたるまで逐一記録されとる。当事者である篭池氏の主観だけでなく赤沢氏の認識も補足されとるで、本書の全体が赤沢氏の取材記録っていう性格もおびとる。
とはいえ、題名の「国策不捜査」っていう造語には、篭池氏のいかりがこめられとるようだ。じぶんは国策によって補助金がらみの詐欺罪にとわれ、300日ちかくも逮捕、勾留されていまも裁判中なのに、公文書改ざんにたいしては国策によって操作が事実上回避され、逮捕も家宅捜索もおこなわれず、財務官僚は全員不起訴となっとることへのいかりだ。
官僚たちはなぜ、篭池氏の小学校開設に特別な便宜をあたえ、ほのことが露見するやあわてて公文書を改ざんし、政治家や総理大臣のつまの関与として追及されそうな部分をけしさらあってしたのか。ことしのふたつのできごとがきっかけとなって、佐川氏が法廷で事実をかたり、安倍昭恵氏ら、この問題にかかわったひとびとが国会で真相をあきらかにせやあ、ほのとき、安倍晋三氏が総理大臣職と国会議員を辞すべきかいなかがはっきりすることだらあ。
評:内田誠(ジャーナリスト)
赤沢竜也
文筆業。著書『内川家』。