死刑制度　〜世界の事情〜（あめーば） - あきひこのいいたいほうだい

ちょっとふるい記事だが中日ウェブに各国の死刑制度のことがのっとったのでみてみる。

世界のほぼ 3分の 2のくにが死刑制度を廃止した。日本は「少数派」で、死刑確定者数は 1990年代より倍増しとる。死刑があることで犯罪の抑止効果があがるのか、犯人のいのちをたてば被害者や遺族のこころはいややされるのか。廃止したくに、存置するくにの事例を紹介する。

韓国＝事実上廃止　〜世論 6 わりが賛同〜

韓国で最後に死刑が執行されたのはキム・ヨンサム政権末期の 1997年 12月。それからちょうど 10年となった 2007年 12月末、市民団体などが国会まえで死刑廃止国家記念式をひらいた。国際人権団体アムネスティ・インターナショナル（本部ロンドン）の執行停止 10年の基準で「事実上の死刑廃止国」となったからだ。

軍事独裁政権時代の政治的混乱などから、かつてはおおくの政治犯や思想犯の死刑が執行された韓国。しかし、みずからも死刑判決をうけたキム・デジュン前大統領がこうしたながれにはどめをかけ、ノ・ムヒョン政権も方針をひきついだ。

2002年の韓国犯罪白書は、1997年に 789件の殺人事件が発生し、23人が死刑となったが、翌 1998年にも殺人事件が前年より 177件おおい 966件発生したと指摘。死刑による犯罪抑止効果に疑問をなげかけた。韓国法務省が昨年実施した意識調査でも、回答者の 6 わりが死刑廃止に賛成しとるとの結果がでた。

しかし韓国ではいまも死刑制度が存続しており、死刑囚 58人が収監中。議員立法で 2004年に国会に提出された「死刑廃止に関する特別法案」は定数の過半数の 175人が提案者になをつらねたが、4月の総選挙後に廃案になるみとおし。死刑廃止に慎重なイ・ミョンバク次期大統領がどのような姿勢をしめすかが焦点となる。（ソウル・中村清）

イタリア＝廃止運動の中核になう

ローマの古代遺跡コロッセオは、死刑反対運動のシンボルになっとる。古代ローマ時代、おおくの奴隷が奴隷同士、ときにはライオンとたたかう残忍な闘技で死亡したのにちなんだものだ。各国で死刑囚の減刑や死刑制度の廃止がきまると、ライトアップされる。

死刑廃止をかかげるＥＵのなかで先頭にたつのがイタリアだ。国連総会で昨年 12月、死刑の一時停止をもとめる決議案が採択された際、ナポリターノ大統領は「わがくには困難なキャンペーンの中核的やくわりをはたした」と強調した。

イタリア半島での死刑廃止の歴史はふるく、統一イタリア王国は 1889年に廃止。ファシズム時代のムソリーニ政権が 1926年に再導入したが、1948年にイタリア共和国憲法は廃止を明記した。

市民あげての熱心な反対運動の背景に、イタリアがカトリックの総本山、バチカンをかかえる事情も。歴史的にみればキリスト教が死刑を排除してきたわけではなく、中世から近代の法王領では「異端」などのつみで死刑宣告がなされた。前法王の故ヨハネ・パウロ二世が「生存権はすべての権利の基礎」と主張したのをきっかけに、おおくの教会関係者が運動にかかわるようになった。

しかし、信者のなかには異論も。1981年に死刑が廃止されたフランスで、死刑制度回復をめざす団体の代表、アントニーさん（63才）は 2004年、かおなじみのおんなのこが殺害される事件に接し組織をたちあげた。「犯罪に比例した処罰は必要だ。ヨーロッパは死刑廃止のながれにあるが、逆もどりできんことはない」とうったえる。（パリ・牧真一郎）

中国＝人権意識たかまっても執行年間 1,010人

アムネスティ・インターナショナルによると、中国では 2006年にすくなくとも 1,010人に死刑が執行され、世界の 6 わり以上をしめた。「死刑大国」との批判をあびる中国だが、今夏のペキンオリンピックをひかえて制度改善に着手、人権重視の姿勢をアピールしようとしとる。

司法当局は昨年 1月、死刑判決の最終決定権を最高裁に一本化することを決定。地方の高裁レベルでだしとった死刑判決をすべて最高裁で再審査したうえで決定するとし、誤審や量刑がことなる不公平感をなくし「法のもとの平等」を確保するとした。蕭揚・最高人民法院院長（最高裁長官）は、昨年一年間に死刑判決後即執行された人数より、執行を猶予された人数がはじめてうわまわり、制度改善が成果をあげたと発表。「ころしてもころさんでもよいものは、一律にころさんようにした」と強調しとる。

かつては銃殺が主流だった執行方法も、最近はくるしまんとの理由で注射による薬殺がふえとる。死刑執行場のない地方や農村のため、各地を巡回して注射による死刑を執行する「死刑執行車」も登場。巡回による威圧と犯罪抑止の効果をねらっとるという。

だが、逮捕から裁判にいたる司法てつづきは依然として不透明な部分がおおい。死刑執行数も実態ははるかにおおいとの観測があるほか、死刑囚の臓器売買がおこなわれとる可能性もつよく、国際社会の批判はおさまっとらん。（北京・鈴木孝昌）

アメリカ＝冤罪考慮、慎重な州も

アメリカで死刑制度があるのは 36州と連邦政府、アメリカ軍で、制度がないのは 14州とコロンビア特別区（首都ワシントン）。民間非営利団体「死刑情報センター」によると、1976年に連邦最高裁が死刑を合憲と判断して以降、1,099人の死刑が執行された。南部が 901人で大半をしめ、北東部が 4人でもっともすくない。南部のテキサス州は 405人で突出しとる。

人種別にみると、処刑されたのは白人 57％、黒人 34％など。ただ、死刑制度のある州の地方検事トップは白人が 98％、黒人は 1％にすぎない。カリフォルニア州では、白人をころしたばあいは黒人をころしたばあいの 3倍以上も死刑を宣告されており、人種問題を指摘するこえもある。

年間の執行数は 1999年をピークに減少傾向にある。その背景には、連邦最高裁が 2002年以降、精神的に発達のおくれがある被告や犯行時に 18才未満の被告に対する死刑判決を違憲と判断したことがある。死刑情報センターのディーター所長は「犯罪捜査にＤＮＡ鑑定が普及し、ひとびとが冤罪（えんざい）事件に注目するようになったため、死刑判決や執行がへっとる」とはなす。

さらに最高裁では、ケンタッキー州の三段階による薬物処刑が苦痛をともなうとして違憲論議もはじまった。警察の意識調査でも、暴力事件をへらす方法に麻薬の追放、経済や雇用の改善をあげるこえがおおく、死刑の適用は 1％だった。費用の面からも死刑制度の維持は裁判費用などがかさみ、終身刑の収監にくらべて数倍かかるとの試算もある。（ワシントン・立尾良二）

135のくに・地域で廃止

国際人権ＮＧＯなどによると、死刑を廃止したくに・地域は 135で、このうち